展覧会

愛陶コレクション展・ギャラリー(デザインあいち)

特集展示 名古屋製陶所〈人・こと・物語〉

 名古屋製陶所なごやせいとうしょの歴史は、1910(明治43)年に名古屋の地で貿易商・寺澤留四郎が設立した「帝国製陶所」に遡ります。約60年にわたり、名古屋製陶所は日本陶磁器産業の中心的存在として発展しました。大正期から昭和初期にかけてディナーセットを一貫生産できたのは、日本陶器合名会社(現:ノリタケ株式会社)と名古屋製陶所の二社のみでした。当時のディナーセットは、現在の半導体産業にも比肩する最先端産業であり、アメリカ向け輸出の花形として外貨獲得にも貢献しました。

 また名古屋製陶所は、洋食器のみならず衛生陶器やタイルの分野にも進出し、窯業総合メーカーとして時代を切り拓きました。不運な出来事が重なり1969(昭和44)年に解散しましたが、その発展の背景には、高い志を抱いた経営者、卓越した技術者、そして現場を支えた多くの人々の挑戦と革新の物語があったはずです。

 本展では、洋食器や陶画など約60点を通じて、〈人・こと・物語〉をテーマに、名陶を育て上げた人々、記憶に刻むべき出来事、そして名古屋製陶所の軌跡をご紹介します。

ムガール模様ディナーセットより「肉皿」パルク・ハリハラン、名古屋製陶所、個人蔵

展覧会の見どころ

見どころ その1

愛知県陶磁美術館(デザインあいち)× 名陶研究会 はじめてのコラボレーション!

名陶研究会とは…

 名陶研究会は、主に名古屋の陶磁器産業に従事していた人々を中心に、2019年に発足しました。名古屋の近代陶業史や関連産業との関わり、資料・商品の収集など幅広いテーマに取り組み、研究会や講演活動を行っています。現在は5名の会員が在籍しています。

愛知県陶磁美術館「デザインあいち」

 デザインあいち(旧南館)は、2026年1月にリニューアルオープンしました。愛知県を中心とした東海地域において、人々の暮らしを形づくってきたやきものや、その背景にある文化・産業について多角的な視点から紹介しています。

 今回のような市民団体との共同による特集展示は、デザインあいちにとって初めての試みです。


見どころ その2

普段は見ることができない貴重な個人コレクションを多数公開!

ワシントンDCに咲く日本の桜を文様に…

1912(大正元)年、日米友好の象徴として日本から米国ワシントンDCへ桜が寄贈されました。名古屋製陶所は、この歴史的な出来事を題材に、対米輸出向けの桜文様ディナーセットを製作しました。

桜文ディナー

色絵金彩桜文ディナーセットより〈キャセロール〉(左)、〈コンポート〉(右) 1917(大正6)年 名古屋製陶所 個人蔵

特注品のディナーセットはムガールデザイン…

 松坂屋の取締役を務めた子爵・交野政邁(1893-1966)のために製作されたディナーセットを紹介します。本展では、全93ピースのうち、スープ入れやプレートなど17ピースを展示します。

 この作品をデザインしたのは、インド出身のパルク・ハリハラン(1905-1970)です。ハリハランは1930年に来日して陶芸家・富本憲吉に師事し、1932年に瀬戸市品野へ移住しました。その後、松坂屋の嘱託員として活動し、名古屋製陶所のディナーセットをはじめとする数々のデザインを手がけました。伝統的なムガール帝国の文様を独自にアレンジした意匠にもご注目ください。

ムガール模様ディナーセット

パルク・ハリハランデザイン ムガール模様ディナーセットより〈肉皿〉 1935(昭和10)年頃 名古屋製陶所 個人蔵


見どころ その3

メリークリスマス!名古屋製陶所のディナーセットで季節を演出

 本展の会期中、デザインあいちでは、1960年代から1990年代にかけてアメリカ輸出向けに製作された瀬戸ノベルティを用いて、館内をクリスマス仕様に彩ります。本展に出品される名古屋製陶所の「金盛ディナーセット」も、クリスマスのテーブルセッティングとして華やかに展示します。ぜひ、ひと足早いクリスマスの雰囲気をお楽しみください。また、新年には新春を祝うテーブルセッティングへ展示替えを行います。

展示替えスケジュール

◇ 第1期 クリスマスのディナーテーブル 10月10日~12月20日

◇ 第2期 新春を祝うテーブルセッティング 1月5日~3月14日

金盛ディナーセット

金盛ディナーセットより〈菓子皿〉、〈デミタスカップ&ソーサー〉、〈ポット〉 昭和初期 名古屋製陶所 愛知県陶磁美術館蔵

Waiting for Santa

ノベルティ〈Waiting for Santa〉 1981(昭和56)年 原画:ノーマン・ロックウェル、製作 光和陶器(瀬戸・尾張旭) 愛知県陶磁美術館蔵

開催概要

会期

2026年10月10日(土)~2027年3月14日(日)

会場

愛知県陶磁美術館 デザインあいち(旧・南館)

開館時間

午前9時30分~午後4時30分

休館日

毎週月曜日 ただし10月12日、11月22日、1月11日(月・祝)は開館し、翌日を振替休館とします。また2026年12月21日(月)~2027年1月4日(月)は年末年始の為休館します。

観覧料

一般400円(320円)、大学生300円(240円)、高校生以下無料

※()内は20名以上の団体料金。企画展、特別展の観覧券でもご覧いただけます。

その他

主催:愛知県陶磁美術館、名陶研究会