公益財団法人瀬戸市文化振興財団の母胎である埋蔵文化財センターは、平成4年度の設立以来、埋蔵文化財の発掘調査とともに、瀬戸焼を中心とした陶磁器の生産と流通に係る考古学的な調査・研究・普及啓発活動を活動の柱として歩みを進めてまいりました。その埋蔵文化財センターの設立にあたり初代所長として就任したのが、長らく日本の陶磁史研究を先導された名古屋大学名誉教授の楢崎彰一氏でした。
1969年(昭和44年)、当時名古屋大学の助教授であった楢崎氏は「瓷器の道(1)一信濃における灰釉陶器の分布一」という論文を発表されました。この論文は、初期の瀬戸窯や猿投窯、東濃窯などで平安時代に生産された瓷器(しき)、すなわち灰釉を施したやきものの生産と流通について論及したもので、とくに長野県下(信濃国)の遺跡における出土状況を克明に調べ、その性格が10世紀を境に貢納品・奢侈品から広汎な階層の日常雑器へ変わっていったこと、そしてそれらが古代の都と東国をつなぐ主要道であった東山道を通って運び込まれたことを明らかにしました。尾張・美濃の窯業生産地から険しい峠を越えて信濃に抜ける東山道は、平安時代にやきものを携えた人々が往来する「瓷器の道」でもあったのです。
さて、楢崎氏の論文発表から 60年近い歳月が流れ、その間に埋蔵文化財の発掘調査件数は飛躍的に増え、信濃における瀬戸・美濃焼の出土事例を増加の一途を辿っています。とくに中・近世遺跡における出土事例は、当センターが構築した瀬戸焼データベースの上で100件以上に達しており、それらは信濃における流通状況を解明する上で重要な手掛かりと言うことができます。35回目を迎える本年度の企画展は、『続・瓷器の道』と題して、瓷器の系譜に連なる中・近世の瀬戸・美濃焼の信濃における流通状況を解明してまいります。
【歴史講演会】 ※申込不要、参加無料
「灰釉陶器が教えてくれた信濃の歴史」
講師:安曇野市豊科郷土博物館 館長 原 明芳 氏
日時:2026年10月24日(土)午後1時30分~午後3時
会場:愛知県陶磁美術館 本館地下講堂
【展示説明会】 ※申込不要、参加無料
日時:2026年10月24日(土)午前10時30分~11時30分
会場:愛知県陶磁美術館 本館展示室1-B




