展覧会を楽しむための各種情報
■猿投窯の歴史
【古墳時代】(5世紀〜6世紀)
渡来人が日本へ新しいやきもの:「須恵器(すえき)」作りの技術を伝える。名古屋市東部で、須恵器を焼く「窯(かま)」が作られ、まわりに広がっていく。(猿投窯のはじまり)
【飛鳥・奈良時代】(7世紀〜8世紀)
大陸の文化に影響を受けた形の「須恵器」が作られる。平城京などで、猿投窯の製品が使われる。
【平安時代】(9世紀〜11世紀)
釉薬をかけた焼き物:「白瓷(しらし)」(灰釉陶器)と「青瓷(あおし)」(緑釉陶器)が作られる。平安京など、東北から九州までの日本各地で、国産高級陶器として使われる。
【平安時代末期〜鎌倉時代】(12世紀〜14世紀)
平安京の貴族からの注文で、特別製品が作られる。東海地方の庶民向けには、「山茶椀」が作られる。瀬戸と常滑でやきもの作りが盛んになる。(猿投窯のおわり)

■猿投窯で生産されたやきものの種類
須恵器(すえき)
須恵器は5世紀に朝鮮半島より日本列島へもたらされた製陶技術をもとに焼造されたやきもの。古代には「陶器」と表記して「須恵宇都波毛能:すえうつはもの」と呼んでいたことから、近代以降は「須恵器」(すえき)と称している。窖窯を用いた高火度焼成によって、器体は青灰色や灰黒色に焼き締められている。高温焼成によって、燃料である薪の灰が器面に降りかかってガラス質の釉層を形成することがあるが、これは「自然(灰)釉」と呼ばれる。
猿投窯では8世紀後半から窯体構造を改良してより高火度焼成が可能となり、特に窯内の焚口近くで焼成したものは、灰釉層を厚く形成することがある。これは9世紀に始まる本格的な灰釉陶器生産に先立つもので、「原始灰釉陶器」とも呼ばれる。焼成前に人工釉薬を器面に塗布する工程は基本的に行われていないと考えられている。自然釉との区別が難しく、須恵器に含めて評価する学説と、広義の瓷器(しき)に含めて位置付ける学説がある。器面に顕著な釉層が形成されている場合、資料名称に「灰釉」を冠することが一般的である。
瓷器(しき)-白瓷(しらし)と青瓷(あおし)
猿投窯では9世紀から11世紀にかけて、「灰釉陶器」が生産された。これは植物灰を主原料として制作した灰釉を塗布し、器体が白色に焼き締められたもので、当時は「白瓷」(しらし)と呼ばれていた。白瓷は灰釉陶器のほか、灰白色の無釉陶器を指すとみられている。
一方、同時期には「緑釉陶器」も生産された。これは酸化鉛を媒熔剤、酸化銅を呈色剤として制作された鉛釉を施して焼成したもので、当時は「青瓷」(あおし)と呼ばれていた。青瓷は、緑釉を含む鉛釉陶器の総称であったとみられている。
白瓷と青瓷は、当時は「瓷器」(之乃宇豆波毛乃:しのうつわもの)と総称されていた。灰釉や緑色釉を施した陶器は古代以降ほとんど汎時代的に生産されていることから、古代のこれらについては当時の呼称である「瓷器」-「白瓷」・「青瓷」を用いるべきとする所論がある。ただし、その場合でも資料名称においては釉薬種別を表記するために「灰釉」「緑釉」を冠して称する。なお当時、「陶器」(すえもの)と「瓷器」は、「瓦器」(がき)と総称されていた。
■出品される指定文化財一覧
【国指定・重要文化財】
・多口瓶 愛知県みよし市・黒笹36号窯跡出土 平安時代初期 愛知県陶磁美術館所蔵
・豊田大塚古墳出土須恵器一括の内、須恵器6点 古墳時代後期 豊田市郷土資料館所蔵
・緑釉四足壺 京都・慈照院伝世 平安時代前期 慈照院所蔵
・緑釉四足壺 伝 奈良県宇陀市字赤瀬香酔山出土 平安時代前期 九州国立博物館所蔵
・緑釉手付瓶 埼玉県深谷市・西浦北遺跡出土 平安時代前期 深谷市教育委員会所蔵
・斎宮跡出土資料一括の内、灰釉陶器及び緑釉陶器計4点 平安時代前期 斎宮歴史博物館所蔵
【国指定・重要有形民俗文化財】
・灰釉短頸壺 岐阜県高山市出土 平安時代前期 愛知県陶磁美術館所蔵
・灰釉短頸壺及び灰釉平瓶 名古屋市守山区・小幡緑地出土 平安時代前期 愛知県陶磁美術館所蔵
・牡丹文経筒外容器 平安時代末期 愛知県陶磁美術館所蔵
【一宮市指定文化財】
・浅井古墳群出土須恵器一括の内、須恵器5点 古墳時代後期 一宮市博物館所蔵
【稲沢市指定文化財】
・灰釉短頸壺 愛知県稲沢市・塔の越遺跡出土 平安時代 稲沢市教育委員会所蔵
【豊田市指定文化財】
・長頸瓶 愛知県豊田市桑原町出土 奈良時代 個人蔵
【市原市指定文化財】
・灰釉花文浄瓶 千葉県市原市・荒久遺跡出土 平安時代前期 市原市教育委員会所蔵
【諏訪市指定文化財】
・灰釉鳥鈕蓋付平瓶 長野県諏訪市・金鋳場遺跡出土 平安時代 諏訪市博物館所蔵
【飯田市指定文化財】
・灰釉椀(「厨」墨書) 長野県飯田市・恒川遺跡跡出土 平安時代 飯田市教育委員会所蔵
【中津川市指定文化財】
・水瓶 岐阜県中津川市大字阿木字寺領出土 平安時代初期 中津川市教育委員会所蔵
【京都市指定有形文化財】
・平安京冷然院跡出土資料一括の内、灰釉陶器及び緑釉陶器計7点 平安時代 京都市所蔵















